医療者視点から、心理学研究からの広告コミュニケーション

ブログ 広告 心理学

はじめに

 当記事にアクセスいただきありがとうございます。

この記事では自己紹介も兼ねていますので、よろしければお読みいただければ幸いです。

この記事にたどりついたきっかけは、”広告“でしょうか?”コミュニケーション“でしょうか?もしかして弊社の”社名”でしょうか。

いずれにしても、『自社製品・サービスが売れるための何か』をお仕事にされている、もしくは広告・宣伝に興味がおありなのではないでしょうか。

そのような方にとっては、これから更新していく記事は、ある意味その期待を裏切るかもしれません。広告業界の最新情報であれば、他社様のコンテンツ記事の方が直結されますし、弊社のブログコンテンツはかなり特殊だと思います。

なぜなら、私は自分のことを広告人(広告のプロフェッショナル)だと思っていないからです。

じゃあ何なのか?

私は薬剤師、つまり医療者だと思っています。

マーケティング部門に配属になったことからこの広告業界に入り、早20年になろうとしています。最初のころは、「私は薬剤師でありマーケティング担当者ではない」と、どこかマーケティング業務から気持ちに距離を置いていた自分がいました。

しかし、それはそのころだけでなく今もその気持ちは変わっていません。

薬剤師の視点からマーケティング・広告に向き合う

だからこそ、マーケティング・広告の業務にあたる際に、薬剤師としての視点を必ず忘れないようにしています。なぜ薬剤師の視点なのか?改めて考えたみました。

皆さんは、薬剤師にはどういった場面で接しますか?

おそらく、病院に行って、診察を受け、処方箋をもらって、調剤薬局に行ったときに薬の説明と受け渡しをする場面で薬剤師に接する、という方が多いのではないかと思います。

皆さんの中には、薬剤師から症状や服薬中の薬、アレルギー歴などを聞かれ、医師に伝えたのになんで薬剤師に同じことを言わなければいけないんだ?と思ったことはありませんか?

その理由はまたいずれお伝えするとして、薬剤師の立場としては患者さんに説明する際には、このようなことを考えています。

「医師はどのような意図でこの処方をしたのだろうか?」(「処方解析」と言ったりもします)

「この処方内容を患者さんはどう受け止めるだろうか?同意して前向きに服薬してくれるだろうか?」(「アドヒアランス」と言ったりもします)

「そのためには薬剤師として(取捨選択して)どのようなお薬情報を伝えたらよいだろうか?」

このように、1日に何十枚もの処方箋をもとに監査、服薬指導をする薬剤師としては、医師の立場、患者さんの立場、そして薬剤師としての自分の立場を常に(ある意味、無意識に)考えています。

このような経験が、この広告業において、活かされた気がします。

これから作ろうと思っているその製品のパンフレットは、医師、薬剤師が見たらどう思われるだろうか?この製品を患者さんに説明するときに、どういう情報があったら医師は、薬剤師はより的確にわかりやすく説明できるだろうか?患者さんにとってどういう説明をされたら理解しやすいだろうか?…などと常に視点を変えて考えています。

それはもちろん、医療分野の製品・サービスだけではありません。他の分野の製品・サービスでも同じことが言えます。同じ製品でも立場によって情報の切り口、出し方、表現方法が全く変わります。

どのような製品・サービスでも、どのような時でもあらゆる視点を大切にして、今この仕事を行っています。

広告と心理学

そして、弊社で私の経歴をご覧いただいた方には、私が医療系の経歴に加えて心理系の背景があることにお気づきいただいたかもしれません。

私は日ごろ、マーケティングや広告の業務を行っていて、あるときマーケティングや広告と心理学と密接につながっていることに気が付きました。しかしそれを体系的に学べるところや書籍がありませんでした。そこで、学問から入っていこうと大学の学部生として学び始めたことがきっかけです。そして大学院まで行ってわかったことは、結果として心理学と広告は密接に関係ありますが、世の中にあふれている広告に役立つ心理学というのはごくごく一部だということでした。残念ながら、そのごくごく一部がすべてであるかのようにネット上や一般書籍にはあふれています。

私は心理学を学ぶことから研究することへとステージを移しましたが、どのようにして、適切に心理学を広告にいかしていくのか。常に考えていることでもあります。

このブログで伝えたいこと

医療分野の背景を持ち、心理学を研究しながら広告業界にいるといった面白い人がいるんだな~という軽い興味だけでも、もしお持ちいただいたとしたら、とてもありがたいです。このブログでは、マーケティングや広告を担当されている方や、この分野に興味がある方。そして心理学を経営にお役立てしたいと思われている経営者の方々に対して、ほんの少しだけも何かお役に立てることがあれば、参考になることがあればと思い、仕事のこと、広告のこと、時には私の日常考えたことなどを更新していきます。

そして今はデータサイエンスの時代です。広告やPRに使用する科学的なデータの読み方はもちろん、そのデータの示すことを一般の方に伝えるときに、「拡大解釈」になったり「優良誤認」になったりしないよう、データの示す範囲に忠実に表現し、かつ効果的に伝えていく大切さもお伝えできればと思います。

また、2022年に修了した、筑波大学大学院カウンセリング学位プログラムでの研究・学びは多くの方にご興味を持っていただいています。少しずつ大学院で得たことや、研究に関することもご紹介していければ幸いです。

広告表現は空や水平線のように果てしなく奥行きのあるものです。誰がどのような思いをもって作るかで全く異なるように出来上がります。